第11回 健康管理と生産性

 昔、ラジオ体操などで、出席すると台紙にハンコ押したりシール張ったりしてもらいましたが、何の賞品もあるわけでもないのに、単なる認印でしかないハンコが欲しくて毎日通ったことを覚えています。

 

 何故かハンコが埋まっていくだけで達成感があって楽しかったものです。

 

 そういった達成感を感じられるなど、そこに行くこと自体が楽しいなら、それはそれでもいいのかもしれません。

 

 しかし、仕事となると、行きたくなくとも、体調が悪くとも、出勤せざるを得ないと考えている方も多いのではないのでしょうか。

 中には、「風邪をひいても仕事があるから出勤しなきゃ」とか「出勤しないと上司に怒られる」なんて冗談交じりに言う方もいたりします。

 

 ずる休みはもちろん論外ですが、どうやら世の中には「出勤・出席」=良いこと、「欠勤・欠席」=悪いこと、というような雰囲気があるようです。

 

 さて、出勤することで会社に損失を与えているとしたらどうでしょう。

 

 健康管理と生産性の話をするときに、「プレゼンティーイズム」「アブセンティーイズム」という話がよく出てきます。

 

「プレゼンティーイズム」とは、出勤はしているものの、心身の不調により、生産性が低下すること(頭痛、腰痛、生活習慣病、メンタルヘルス不調など)、

「アブセンティーイズム」とは、心身の不調により、遅刻・早退、欠勤などが生じ、生産性が低下することを指します。

 

 

 現在、経済産業省が主体となって「健康経営」への取り組みがなされています。

 

 経産省や厚労省から出されている健康経営に関する資料には、プレゼンティーイズムにかかるコストが最も大きいことが示されています。

 

 プレゼンティーイズムにかかるコスト、つまり、体調がすぐれないときに出勤しても、生産性が上がらず、かえって会社に損失を与えかねないということなのです。

 

 このプレゼンティーイズムへの対策としては、健康経営への取り組みの中で、ワークエンゲージメントの向上、職場環境改善、適度な運動などが例示されています。

 

 健康管理という側面からコストを低減し、生産性を向上させる取り組みの一つとして示されているのが、「健康経営」です。

 

 確かに、疾病の予防という意味で健康リスクを低減させることは重要な課題ですが、まずは、体調を崩してしまったらきちんと休む、会社はきちんと従業員を休ませることが大前提であると私は思います。

 

 

 つまるところ、「仕事があるから休めない」ではなく「仕事があるからしっかり休む・休ませる」ということが大切なのです。

 

企業の「健康経営」ガイドブック~連携・協働による健康づくりのススメ~

https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/kenko_keiei_guidebook.html

 

「データヘルス・健康経営を推進するためのコラボヘルスガイドライン」

https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000170819.html